
3月下旬に見たものを、今頃になってUP。
すみませんっ。
遅くなってしまいました。
見ていない方も耳にしているはず。
とにかく、メリル・ストリープが素晴らしい。
ファーストシーンで登場する晩年のマーガレット・サッチャー。
その姿は、本当にこれがメリル・ストリープだろうかと疑うほどの変貌ぶり。

夫デニスの死から8年。
周囲に促され、やっと遺品の整理をする決心をするマーガレット。
しかし未だに夫の幻影はマーガレットの生活の中に表れ、
食卓で、TVの前で、寝室で、彼女に話しかける。
自叙伝の出版にあたり、書籍にサインをするマーガレットは、
旧姓でサインをしてしまい、ふと過去を振り返るのだった。。。。
そんなことから展開してゆく物語。
政治活動に全てを注ぐ彼女の姿は凛々しくて、
母としては合格点をあげられなかったのかもしれないが、
きっぱりと言い放つ演説は自信に満ち溢れていた。
若いころのマーガレットはキンキンとした甲高い声であり、
階級を低く見られてしまう。
そこでボイストレーニングに励み、落ち着きのあるトーンに話し方を変えてゆく。
でも私としては、描き方が非常に残念な映画だった。
というか、個人的にもっと、マーガレット・サッチャーには
晩年まで堂々として自分の人生に悔いなくいて欲しかった。
この映画では『教えて。あなたは幸せだった?』と、
夫デニスの幻影に話しかけるセリフを見せ場としていたようだ。
パンフレットにも、そのセリフは大きく載っている。
まぁ、サブタイトルにも「鉄の女の涙」とあるので、仕方がない。
でも、でも。
保守党のイメージカラーであるブルーのスーツに身を包み、
カツカツとヒールの音をさせて胸を張って歩くマーガレットはカッコよくて、
晩年に痴呆症であると発表された姿を描くとはいえ、
これまでの彼女の人生に、彼女自身が自信を無くすような演出はしてほしくなかったな。
首相として福祉を切り詰めたり、炭鉱を閉鎖したりして失業者を溢れさせたことに対し、
その記憶が彼女を苦しめるなど、そういった場面はまだいい。
一人の人間として、
「あのとき、ああすれば良かった、こうすればもっと・・・」という思いは、
あって当然だからだ。
でも、デニスに対して、『あなたは幸せだった?』などと聞いて欲しくなかったな、私は。
だってプロポーズを受けた時、彼女は言っていたのだ。
『料理や育児や掃除だけじゃなく、人生にはもっと大切なことがある。
私は食器を洗って一生を送りたくはない』と。
そしてデニスはこう言ってたじゃないか。
『だから君と結婚したいんだよ』と。
そして映画は、晩年のマーガレットが、
食器を洗うシーンで幕を閉じる。
なんだかな。。。。
私は劇中、もっと心に残るセリフがあった。
マーガレットが話していた、
『感じる・どう思う」より「どう考えるとかアイデア」の方が重要』
という言葉と、
マーガレットの父が言っていたというセリフ。
『考えは言葉になり、言葉は行動へと移り、行動は習慣になり、
習慣は人格になり、人格は運命(さだめ)になる』
この2つを胸に刻むために、私はこの映画を見ることとなったのだろうと思う。
そして劇中、私を興奮させまくったメリル・ストリープの演技に、拍手。
彼女はマーガレットそのものだった。